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かんざし

kanzashi.jpg 江戸時代から現代まで長い間、女性の結髪の飾りとして愛されてきた簪(かんざし)。シンプルなものから派手に技巧を凝らしたものまで数多く作られてきましたが、ガラスを材料とするものもあり、右の写真のような江戸とんぼ玉を使った「玉かんざし」もその一つです。江戸時代に大阪・堺などでとんぼ玉の生産が盛んになったのは、この玉かんざしのためのとんぼ玉が必要になったのが一因です。多くの種類があるかんざしの中でも、玉かんざしが最も人気があるとされ、現在までずっとすたれることはありませんでした。

kanzashi2.jpg ガラスを材料とするかんざしは、他にも、左の写真のように本体の胴部分がガラスで出来ているものもあります。江戸末期から明治時代にかけて流行しましたが、大正期になると子ども向けのものしか作られなくなり、夜祭りの露店などで売られるようになったということです。ガラス製のかんざしは希少で集めるのが難しく、ある著名なかんざしコレクターは次の様に述べています。

 「私はガラス製を四十本以上所有している。ところが、以前、東京・青山の骨董店でその話をしたところ、店主は『そんなことはあり得ない』とばかりに、相手にしてくれなかった。そこで自宅に戻って、ガラス製のかんざしを写真に撮って送ったら、丁重なわび状が届いた。そのくらい、ガラスのかんざしを集めるのは難しい。」(08年5月23日付日経新聞・村上英太郎「髪飾り 江戸の粋鮮やか」より)

setusro.jpg この2、3年、アンティークのとんぼ玉を使った玉かんざしとして、小野セツローさんの手製のかんざしが注目されています。セツローさんの仕事に注目し、広く世間に紹介した祥見知生さんは著書「セツローさん」に、初めてそのかんざしに出合った時のことを記しています。

 「ギャラリーの扉を開けると、中央にあるテーブルにセツローさんのかんざしが並べられていた。かんざしは、生成りの上質な和紙で作られた袋に一つひとつ入れられていた。縦十七センチ横三・五センチほどの袋にはそれぞれのかんざしの絵と玉の名前が書かれている。たとえば「十六世紀ベネチアガラス」というように。セツローさんご自身の絵であり、字であることはすぐにわかる。ひと目みるなり胸がいっぱいになり、自分でもわけがわからないものがこみ上げてきた。なぜか、涙がこぼれた。」

 この本には製作の様子や作品の写真も掲載されています。実物はなかなか目にする機会が少ないだけに、オススメの1冊です。(2008.6.1)

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