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ボヘミア・ロシアンブルー(Russian Blue)

 右の写真はロシアンブルーと呼ばれるボヘミア産(現在のチェコ共和国)のビーズです。主に19世紀前半に西アフリカで黒人奴隷と交換されたビーズで、アラスカなどアメリカ北西部の太平洋沿岸地域でも先住民との毛皮貿易で使われてきました。ロシアンブルーという名前は、アラスカのビーズ収集家が付けたということです。

 このビーズが作られた1800年代、ヴェネチアにはガラスの菅玉をカットする研磨機を回転させる安価なエネルギーがありませんでしたが、ボヘミアには水車を回すための豊富な水力があり、このような多面体のビーズを大量に生産することができました。ボヘミアで作られたビーズが西アフリカに運ばれたルートは、他のトレードビーズと大きな違いはないと思われますが、どのようにアメリカ北西部まで運ばれたのかについては、現在でも幾つかの説があります。

 まず、1700年代前半にロシア人・ヴェーリングがアラスカを発見して以来、毛皮貿易を仕切り、現地のロシア領を統治していたロシアの会社(Russian America Company)が、貨物列車によってヨーロッパ各地で売られていたボヘミア産のビーズを買い、シベリア鉄道でシベリアやアラスカにもたらした、という説があります。しかし、ある著名なビーズ研究家によると、ロシアンブルーはロシア人と先住民の交易場所だった遺跡からは見つかっておらず、ロシア人の交易が途絶えた後にアメリカ人やイギリス人によってもたらされたとしています。この研究家は、そもそもロシア人がロシアンブルーを扱った事実すらなく、この名前は非常に誤解を招きやすいとしています。

 一方で、アメリカ・カナダ側から流入したという説によると、1670年に設立され、現在でもカナダの老舗デパートとして有名なハドソンズ・ベイ・カンパニー(Hudson's Bay Company,HBC)が流通の拠点だったということです。ロシアンブルーなどボヘミアやヴェネチアのとんぼ玉がアラスカだけでなく、古くからHBCの商圏であった五大湖周辺の先住民の間でも流通していたことが一つの根拠となっています。

 さらに、北米の毛皮貿易の研究者によると、この説を裏付ける資料がHBCに残っており、HBCはハドソンベイビーズ(Hadson Bay Beads ホワイトハーツ、イエローハーツのこと)6つ、パドレビーズ(Padre Beads)3つ、青い透明の大きいビーズ(ロシアンブルー?)2つとビーバーの加工済みの毛皮1匹分を交換していたという事実が判明しました。

 HBCによると、HBCは1733年にカナダ・オンタリオ州のAlbany Fortという地区で、色が付いているビーズ3/4重量ポンド(約340㌘)とビーバーの毛皮1匹分を交換していたということです。ただし、そのビーズがロシアンブルーか、パドレビーズなのか、あるいはホワイトハーツなのかについては明確ではありません。1700年代前半という時期を考えると、パドレビーズである可能性が高いと思われますが、このような交易の延長で、1800年代後半にロシアンブルーが流通したと考えることができると思います。

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