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宝貝のビーズ・貝貨 B.C.1000年頃~

sanixingdui1.jpg 1986年、中国四川省広漢市の西南にある三星堆遺跡に2つの祭祀坑が見つかり、青銅器や玉器、象牙など大量の文物が発掘されました。黄金のマスクをつけた青銅の仮面(左の写真)が有名ですが、紀元前約1000年ごろのものとみられる祭祀坑からはからは約4700個の宝貝(タカラガイ、子安貝)も見つかりました。

 この時代の宝貝には穴があけられたり表面が削り取られたりして紐が通されており、世界でもっとも早い時期の貨幣(貝貨)として、あるいは財宝としてつかわれていました。紐に通された宝貝は『朋』という単位で数えられており、宝貝は3000年前から現代まで連綿と人類によって加工され、利用されてきたビーズということができます。
 下の写真は三星堆と同じ四川省の遺跡から発掘された宝貝です。

shell1.jpg 温かい南洋でしか採れない宝貝が、中国内陸部の川西(四西部)平原まで運ばれたルートについて、廷良著『謎の西南シルクロード』は「中国西南地方からミャンマーやインドへ通じるもう一つのシルクロード(注・西南シルクロード)があった」としています。三星堆で発掘された宝貝が「3000年前の未知の世界を、人々の前に明らかにさせようとしていた」ということです。

 この西南シルクロード上に位置する雲南省では13世紀に宝貝が貨幣として使われていたことがマルコポーロの『東方見聞録』に記されています。この宝貝は「マルデイブ(注・モルディブ)の諸島のものが、ベンガル・ビルマを経て供給せられた」という説が日本人学者によって提示されており、現在でも雲南省の少数民族が衣装の飾りとして宝貝を利用しています。また、2002年に西南シルクロードを踏破した高野秀行は『西南シルクロードは密林に消える』で、このルート上に位置する中国-ミャンマー国境の町で、宝貝が一つ20元(約300円)で売られており、カチン族の男性が「すりつぶして腎臓病の薬として飲んでいる」と報告しています。インド東部で暮らすナガ族も、幅の広い腕輪に宝貝をすき間なく縫い付けたり、ベルトの装飾などに宝貝を使っています(『The Nagas』参照)。

 西南シルクロードからは北にずれますが、標高3600メートル以上の高地に位置するチベット自治区のラサの市場でも、ネパール人商人を介して輸入されたとみられる宝貝が売られています(左下が宝貝を売っている露店、右下が売られていたハナビラタカラガイ)。

lhasa1.jpg  lhasa2.jpg


 一方で、三星堆の1号坑と同じ時代のものとみられる河南省安陽市の遺跡、殷墟の夫好墓(ふこうぼ)からも約6800個の宝貝が発掘されています。商(殷)や周が栄えた地域は黄河中流の「中原(ちゅうげん)」と呼ばれる地域で、この地域の宝貝は別ルートで入ってきたとされています。

 民俗学者の柳田國男は晩年の著作『海上の道』で「この第一期の財宝(注・宝貝)の原産地が、果たして世界に幾つあったか、私たちはまだ究めることができずにいるが、(中略)そのもっとも明らかな痕跡を永く留めたのは沖縄の諸島である」として、沖縄からもたらされたという仮説を立てています。

 近年の研究では、「殷墟期の宝貝は山東半島に多く分布しているため、この半島を経由して殷墟にもたらされた」という説もあり、宝貝の輸入と分配は王が独占的に行っていたとみられています。

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