タイ・バンチェン遺跡 Ban Chiang,Thailand

バンチェンとその周辺の遺跡では学術調査の一方、多くの土器、青銅器、ガラス玉が盗掘されて骨董市場へ流出し、日本にも数多く持ち込まれました。骨董市場でも考古学会でも土器への関心が高い反面、ガラス玉の学術的な分析はほとんど進まず、発掘調査報告書などでもガラス玉への言及はほとんど見当たりません。そのため、これらのガラス玉の製造・流通時期すらはっきりしていません。
1980年代の東京国立博物館の図録によると、バンチェンのガラス玉は彩文土器や青銅器と一緒に出土したという説と、その上層から出土したという説があり、「ガラス玉は紀元前後から4~5世紀と考えられるが確証はない」ということです。現在の東京国立博物館の展示では「前1千世紀末~後1千世紀初頭」と解説し、ベルリンの国立民族博物館は「紀元前1200年~200年ごろ」としています。


また、インドパシフィックビーズと思われる橙色のディスク状ガラス玉の首飾り(紀元前300~200年、バンチェン国立博物館蔵)も発掘されています。